NFT所得区分の判定法|一次・二次利益の申告方法を解説

NFT(非代替性トークン)の市場が拡大するにつれて、NFTを制作・販売する個人クリエイターや事業者も増加しています。しかし、その利益にかかる確定申告において、一次販売利益や二次流通ロイヤリティ収入が「事業所得」と「雑所得」のどちらに該当するのか、判断に迷うケースが少なくありません。所得区分を誤ると、税務調査の際に追徴課税のリスクを負う可能性もあるため、正確な理解と申告が不可欠です。

本記事では、NFTから得られる利益の所得区分を判定するための具体的な基準を、国税庁の見解に基づき論理的に解説します。さらに、判断に迷う場合の「安全な申告方法」まで、フローチャートを交えながら深掘りしていきます。この記事を読めば、あなたのNFT活動がどの所得区分に該当するのか、そしてどのように申告すべきかが見えてくるはずです。

大前提:なぜNFT利益の所得区分が重要なのか?

所得区分は、単に税率の違いを意味するものではありません。所得の種類によって、税金の「計算方法」や「適用される控除・特例」が大きく異なります。特に、事業所得と雑所得の間には、確定申告における大きなメリット・デメリットが存在します。

事業所得のメリット

  • 青色申告特別控除の適用: 事前に税務署に申請し、複式簿記で記帳することで、最大65万円(簡易な簿記では10万円)の特別控除が受けられます。これにより、課税所得を大幅に減らすことが可能です。
  • 損益通算: 事業で赤字が出た場合、他の所得(給与所得など)と損益通算して、全体の課税所得を減らすことができます。
  • 損失の繰り越し: 赤字を最大3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺することができます。
  • 専従者給与: 生計を一にする親族に支払った給与を必要経費に算入できます。
  • 家事関連費の按分: 自宅兼事務所の場合、家賃や光熱費の一部を経費にできます。

雑所得のデメリット

  • 青色申告特別控除の適用不可: 青色申告の特典は一切適用されません。
  • 損益通算の原則不可: 他の所得との損益通算は原則としてできません。雑所得内で赤字が出ても、他の所得と相殺することはできません。
  • 経費の範囲: 事業所得に比べて、経費として認められる範囲が限定的になることがあります。

譲渡所得(参考)

NFTの販売利益は、原則として譲渡所得には該当しません。譲渡所得は、土地、建物、株式などの資産を売却して得た利益を指します。NFTクリエイターが「制作したNFTを販売する」行為は、著作物の提供やサービスの対価と見なされるため、通常は事業所得か雑所得のいずれかに区分されます。ただし、購入したNFTを転売して利益を得た場合は、譲渡所得(または雑所得)に該当する可能性があります。

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【一次販売】制作・販売利益は「事業所得」か「雑所得」か

NFTの一次販売(クリエイターが初めて販売する)から得られる利益は、その活動が「事業」として行われているかどうかによって、事業所得と雑所得に区分されます。この判断が最も重要かつ複雑なポイントです。

国税庁の示す一般的な見解では、「事業所得」とは、自己の計算と危険において営まれ、営利性・有償性を有し、かつ反復継続して行われる業務から生じる所得を指します。一方、「雑所得」は、他のいずれの所得区分にも該当しない所得を指します。

具体的な判断基準は以下の通りです。

判断基準1:営利性・継続性・反復性

  • 営利性: 利益を得ることを目的としているか。
  • 継続性・反復性: 単発的な活動ではなく、継続的・反復的にNFTの制作・販売を行っているか。

例えば、趣味の延長で年に数回NFTを販売する程度であれば雑所得に該当する可能性が高いですが、定期的に新作を発表し、収益を上げていくことを目指している場合は事業所得と見なされやすくなります。

判断基準2:事業としての規模・実態

  • 活動に費やす時間・労力: NFT制作・販売に相当の時間を費やし、主要な収入源の一つとなっているか。
  • 人的・物的設備: 専用の作業スペースを設けているか、高額な制作機材を導入しているか、アシスタントを雇っているかなど、事業運営に必要な設備や体制が整っているか。
  • 社会的な地位: NFTクリエイターとして、屋号を掲げて活動しているか、WebサイトやSNSで積極的にプロモーションを行っているか、確定申告以外に事業を行う旨を公表しているか。

副業として片手間でNFTを販売している場合は雑所得、本業としてNFT活動に専念し、生計を立てている場合は事業所得に該当する可能性が高まります。

判断基準3:帳簿書類の保存状況

  • 会計帳簿の作成: 複式簿記または簡易帳簿で、収入と支出を正確に記帳しているか。
  • 証拠書類の保存: 請求書、領収書、スマートコントラクトの記録など、取引の証拠となる書類を適切に保存しているか。

これらの帳簿書類が整備されていることは、税務署に対して「事業として行っている」という客観的な証拠となります。

【二次流通】ロイヤリティ収入の所得区分はどうなる?

NFTの二次流通(転売)時にクリエイターに支払われるロイヤリティ収入は、その多くが「一次販売の事業に付随して生じる収入」と見なされます。

したがって、以下のように判断するのが一般的かつ合理的です。

  • 一次販売の利益が「事業所得」の場合: 二次流通ロイヤリティ収入も事業所得として申告します。
  • 一次販売の利益が「雑所得」の場合: 二次流通ロイヤリティ収入も雑所得として申告します。

これは、ロイヤリティ収入が、クリエイターが制作したNFTという「作品」から継続的に生じる対価であり、一次販売と一体の経済活動と捉えられるためです。

例外的な解釈として、著作権のライセンス料のように捉えることも理論上は可能ですが、実務上は、主たる収入である一次販売の所得区分に合わせるのが最もシンプルで一般的な対応となります。

フローチャートで判定!あなたのNFT利益の所得区分

これまでの判断基準を基に、以下のフローチャートであなたのNFT利益の所得区分を判定してみましょう。YES/NOで答え進めるだけで、おおよその区分がわかります。

A flowchart with clear yes/no branches, starting with

フローチャートの質問内容

  1. 質問1:利益を得る目的で、継続的にNFTを制作・販売していますか?

    • YES → 質問2へ
    • NO → 雑所得の可能性が高い(趣味の延長、単発的な活動)
  2. 質問2:その活動に相当の時間を費やし、主要な収入源の一つとなっていますか?(または、将来的に主要な収入源とする計画があり、そのための準備・投資をしていますか?)

    • YES → 質問3へ
    • NO → 雑所得の可能性が高い(副業で小規模、本業ではない)
  3. 質問3:会計帳簿(簡易なものでも可)や領収書などの証拠書類を整理・保存していますか?

    • YES → 事業所得の可能性が高い
    • NO → 雑所得の可能性が高い(事業としての管理体制が不十分)

このフローチャートはあくまで一般的な目安です。最終的な判断は、個々の活動実態によって異なります。

それでも判断に迷う…所得区分が不明な場合の申告方法

フローチャートを使っても自分の所得区分が明確に判断できない場合、安易な自己判断は避け、以下のいずれかの方法を検討しましょう。

1. 最もリスクの低い選択肢:「雑所得」として申告する

自己判断が困難な場合、「雑所得」として申告することが、税務上のリスクを最も低く抑える方法の一つです。
なぜなら、事業所得として申告し、青色申告特別控除などのメリットを享受した後に、税務調査で「事業とは認められない」と判断されると、事業所得の否認によって過少申告加算税や延滞税が発生するリスクがあるためです。
雑所得として申告しておけば、少なくとも事業所得のメリットを否認されるリスクは回避できます。

2. より確実な方法:税務署に「事前照会」を行う

税務署には「事前照会」という制度があります。これは、納税者が特定の取引について税務署に問い合わせを行い、その取引が税法上どのように取り扱われるかについて、書面で回答を得る制度です。
NFTの所得区分についても、ご自身の具体的な活動内容を詳細に説明し、事前照会を行うことで、税務署からの公式な見解を得ることができます。書面で回答を得られれば、その後の確定申告において強力な根拠となります。

3. 最善の方法:NFTや暗号資産に詳しい税理士に相談する

NFTや暗号資産に関する税務は比較的新しい分野であり、法解釈がまだ固まっていない部分もあります。そのため、NFTや暗号資産の税務に精通した税理士に相談するのが最も確実で安心できる方法です。
専門家は、過去の事例や最新の税務動向を踏まえ、あなたの活動実態に合わせた最適な所得区分を判断し、適切な確定申告をサポートしてくれます。複雑な取引や高額な利益がある場合は、特に専門家への相談を強くお勧めします。

まとめ:NFT利益は実態に基づき正しく申告を

NFTの一次販売利益や二次流通ロイヤリティ収入の所得区分は、その活動が「事業」と呼べる実態にあるかどうかで決まります。営利性、継続性、反復性、事業規模、そして会計帳簿の有無といった客観的な基準に基づいて、ご自身の活動を評価することが重要です。

本記事のフローチャートを活用して自身の状況を確認し、それでも判断に迷う場合は、安易に自己判断せず、雑所得での申告を検討するか、税務署への事前照会、あるいはNFT税務に詳しい税理士に相談することが賢明です。

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NFTクリエイターとして活動する上で、税務に関する知識は不可欠です。正しい知識を身につけ、安心してクリエイティブな活動に専念しましょう。税務に関する書籍やオンライン講座も活用し、自身のスキルアップに繋げていきましょう。

正しい申告は、あなたのクリエイティブな活動を長く続けるための基盤となります。

レイ@通信費見直しアドバイザー

「感情論抜きで、一番安くて速いのはどこか?」を徹底検証。

元・家電量販店のスマホコーナー担当。
複雑な料金プランやキャンペーンの「裏の条件」を読み解くのが趣味です。

「なんとなく大手キャリア」で毎月損をしている人を見ると放っておけません。
実測スピードテストと料金シミュレーションに基づいた、忖度のない情報を発信します。
ガジェットと猫が好き。

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