ふるさと納税の仕組み上、所得税法第78条「寄付金控除」と住民税法第37条の2「寄付金税額控除」の適用順序や計算方法の具体的な相互関係は?
【結論】ふるさと納税の控除は所得税が先、住民税が後
「ふるさと納税の控除って、所得税と住民税、どっちが先に、どう計算されるんだろう?」
「控除上限額の根拠がよく分からない」
もしあなたがこのように感じているなら、本記事はまさにあなたの疑問を解決するために書かれています。
結論から申し上げると、ふるさと納税による税金控除の適用順序は、明確に「1. 所得税の所得控除(還付)」→「2. 住民税の税額控除」の順番で計算されます。
この記事では、この適用順序がなぜそうなるのか、そしてそれぞれの税金からいくら控除されるのかを、所得税法第78条「寄付金控除」と住民税法第37条の2「寄付金税額控除」の条文を根拠に、専門的かつ論理的に解説します。
本記事を読み終えることで、あなたは以下のことを正確に理解できるでしょう。
- ふるさと納税の控除が所得税と住民税で適用される具体的な順序
- 所得税からの還付額と住民税からの控除額の具体的な計算方法
- 両者の計算プロセスにおける明確な相互関係
- 自身の年収や家族構成に応じた控除額のシミュレーション
複雑に見える税金の仕組みも、ステップ・バイ・ステップで分解して解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
大前提:所得税は「所得控除」、住民税は「税額控除」という根本的な違い
ふるさと納税による税金控除の仕組みを理解する上で、まず押さえておくべき大前提が、所得税と住民税における控除の性質の違いです。
- 所得税の「寄付金控除」:税率を掛ける前の『課税所得』から差し引く「所得控除」
- 住民税の「寄付金税額控除」:算出された『税額』から直接差し引く「税額控除」
この根本的な違いが、控除の適用順序や計算プロセスに大きな影響を与えます。
所得控除は、所得から差し引かれることで課税所得が減少し、その結果として税額が減少します。一方、税額控除は、すでに計算された税額から直接差し引かれるため、その分だけ税額が軽減されます。
以下の図で、この違いが税金計算のどの段階で適用されるかを確認しましょう。

この図が示すように、所得控除は「課税所得の計算過程」に影響し、税額控除は「税額が確定した後」に影響します。このため、所得控除が先に適用され、その結果が税額控除の計算に影響を与えるという順序が生まれるのです。
ステップ1:所得税法第78条に基づく「寄付金控除」の計算方法
ふるさと納税の控除は、まず所得税から適用され、確定申告後に「還付金」として納税者に戻ってきます。これは所得税法第78条に規定される「寄付金控除」によるものです。
所得税からの還付額は、以下の計算式で求められます。
所得税からの還付額 = (ふるさと納税寄付額 – 2,000円) × 所得税率
この計算式の各要素を詳しく見ていきましょう。
- ふるさと納税寄付額:その年にふるさと納税として寄付した合計金額です。
- 自己負担額2,000円:ふるさと納税では、控除の対象外となる一律2,000円の自己負担が発生します。この2,000円は、後述する住民税の計算でも控除対象外となります。
- 所得税率:個人の課税所得金額によって変動する所得税の税率です。日本の所得税は累進課税制度を採用しているため、所得が高いほど税率も高くなります。
ご自身の所得税率は、国税庁のウェブサイトなどで公開されている所得税の速算表で確認できます。以下に、一般的な所得税の税率速算表(2025年時点の想定)の例を示します。
| 課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
この計算によって算出された金額が、確定申告後に所得税の還付金としてあなたの指定口座に振り込まれます。
ステップ2:住民税法第37条の2に基づく「寄付金税額控除」の計算方法
所得税からの還付が確定した後、次に住民税からの控除が適用されます。これは住民税法第37条の2に規定される「寄付金税額控除」によるものです。
住民税からの控除は、大きく分けて「基本分」と「特例分」の2つの部分で構成される「2階建て構造」が特徴です。
-
【基本分】の計算式
- 住民税控除額(基本分) = (ふるさと納税寄付額 – 2,000円) × 10%
- この基本分は、所得税率に関わらず一律で適用される部分です。
-
【特例分】の計算式
- 住民税控除額(特例分) = (ふるさと納税寄付額 – 2,000円) × (90% – 所得税率)
-
この特例分こそが、所得税と住民税の相互関係の核心となる部分です。所得税からの控除額が多いほど、住民税の特例分は少なくなります。これは、寄付金控除が所得税と住民税の両方で二重に控除されないように調整されるためです。
-
特例分の上限
住民税の特例分には上限が設けられています。具体的には、住民税所得割額の20%が上限となります。この上限があるため、個人の年収や家族構成によってふるさと納税の控除上限額が変わってくるのです。ふるさと納税の「控除上限額」とは、この住民税特例分の上限を超えない範囲で寄付できる金額を指します。
住民税からの控除額の合計は、「基本分」と「特例分」を合計した金額となり、翌年度の住民税から減額される形で適用されます。
【本題】適用順序の核心:所得税率が住民税控除額を決める相互関係
これまでのステップで見てきた通り、ふるさと納税の控除は、所得税と住民税の計算が密接に連携しています。その具体的な「相互関係」は以下の通りです。
-
確定申告により、まず個人の所得税率が確定し、所得税の還付額が決まります。
- これは「所得控除」である所得税の寄付金控除が、課税所得の計算に先行して適用されるためです。
-
その後、確定した「所得税率」を用いて、住民税の『特例分』の控除額が計算されます。
- 住民税の特例分の計算式「(ふるさと納税寄付額 – 2,000円) × (90% – 所得税率)」からもわかるように、所得税率がダイレクトに住民税の控除額に影響を与えます。所得税率が高い(所得税からの還付が多い)ほど、住民税の特例分は少なくなります。これは、全体の控除額が寄付額から2,000円を差し引いた金額になるように調整するためです。
この一連の流れこそが、ふるさと納税における所得税と住民税の具体的な「相互関係」です。所得税の計算結果が、住民税の計算に直接影響を与える構造になっているのです。
以下のフローチャートで、ふるさと納税の寄付から所得税還付、そして住民税控除が完了するまでの全体の流れと、計算の連動性を視覚的に確認しましょう。

年収・家族構成別|控除額の計算シミュレーション3パターン
理論だけでなく、具体的な数字で理解を深めるために、年収・家族構成別のシミュレーションを見ていきましょう。ここでは、住民税所得割額の20%という特例分の上限を考慮し、ふるさと納税の控除上限額まで寄付した場合の例を計算します。
【シミュレーションの前提条件】
* 所得税率は上記の速算表を適用
* 住民税の所得割額は、年収のおおよそ10%程度と仮定して計算
* 社会保険料控除、生命保険料控除などの他の控除は考慮せず、簡易的な計算としています。
モデルケース1:年収500万円・独身(扶養なし)
- 控除上限額の目安: 約61,000円
- 所得税率の目安: 20%(課税所得330万円超695万円以下を想定)
-
寄付額: 61,000円と仮定
-
所得税からの還付額:
(61,000円 – 2,000円) × 20% = 11,800円 -
住民税からの控除額(合計):
- 基本分: (61,000円 – 2,000円) × 10% = 5,900円
- 特例分: (61,000円 – 2,000円) × (90% – 20%) = 59,000円 × 70% = 41,300円
-
合計: 5,900円 + 41,300円 = 47,200円
-
所得税還付額11,800円 + 住民税控除額47,200円 = 59,000円 (寄付額61,000円 – 自己負担2,000円)となり、正しく控除されています。
モデルケース2:年収700万円・配偶者控除あり
- 控除上限額の目安: 約86,000円
- 所得税率の目安: 23%(課税所得695万円超900万円以下を想定)
-
寄付額: 86,000円と仮定
-
所得税からの還付額:
(86,000円 – 2,000円) × 23% = 19,320円 -
住民税からの控除額(合計):
- 基本分: (86,000円 – 2,000円) × 10% = 8,400円
- 特例分: (86,000円 – 2,000円) × (90% – 23%) = 84,000円 × 67% = 56,280円
-
合計: 8,400円 + 56,280円 = 64,680円
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所得税還付額19,320円 + 住民税控除額64,680円 = 84,000円 (寄付額86,000円 – 自己負担2,000円)となり、正しく控除されています。
モデルケース3:年収1,000万円・配偶者・扶養控除あり
- 控除上限額の目安: 約165,000円
- 所得税率の目安: 33%(課税所得900万円超1,800万円以下を想定)
-
寄付額: 165,000円と仮定
-
所得税からの還付額:
(165,000円 – 2,000円) × 33% = 53,790円 -
住民税からの控除額(合計):
- 基本分: (165,000円 – 2,000円) × 10% = 16,300円
- 特例分: (165,000円 – 2,000円) × (90% – 33%) = 163,000円 × 57% = 92,910円
-
合計: 16,300円 + 92,910円 = 109,210円
-
所得税還付額53,790円 + 住民税控除額109,210円 = 163,000円 (寄付額165,000円 – 自己負担2,000円)となり、正しく控除されています。
これらのシミュレーション結果を以下の表にまとめました。年収や所得税率によって、所得税からの還付と住民税からの控除の内訳がどのように変動するかが比較できます。

これらの計算はあくまで目安です。実際の控除額は、個人の所得の種類、他の所得控除や税額控除の適用状況によって変動します。
ふるさと納税を検討しているなら、まずは控除上限額を把握することが重要です。
正確な控除上限額を把握し、お得にふるさと納税を始めましょう。
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まとめ:控除の順序と相互関係の理解が、ふるさと納税活用の鍵
本記事では、ふるさと納税における所得税と住民税の控除の適用順序、計算方法、そして両者の相互関係について、専門的かつ論理的に解説しました。
重要な要点を再確認しましょう。
- 適用順序は「所得税」が先、「住民税」が後です。
- 所得税の寄付金控除は「所得控除」であり、課税所得を減らすことで税額を軽減します。
- 住民税の寄付金税額控除は「税額控除」であり、算出された税額から直接差し引かれます。
- 住民税の特例分計算には、確定した「所得税率」が使われます。これが両者の具体的な相互関係の核心です。
この複雑に見える仕組みを正確に理解することで、あなたは自身の控除上限額を超えた寄付を防ぎ、ふるさと納税制度の恩恵を最大限に享受できるようになります。
【補足情報:ワンストップ特例制度の場合】
確定申告が不要な「ワンストップ特例制度」を利用した場合、所得税からの還付は発生しません。その代わり、ふるさと納税による控除額の全額が、翌年度の住民税から減額される形で適用されます。計算方法は基本的には同じですが、全額が住民税からの控除として処理される点が異なります。
ご自身の正確な控除上限額は、総務省のウェブサイトや、さとふる、楽天ふるさと納税などの大手ふるさと納税サイトが提供しているシミュレーターで簡単に試算できます。ぜひ活用して、賢くふるさと納税を活用しましょう。
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元・家電量販店のスマホコーナー担当。
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