繰越控除はふるさと納税に影響する?上限額の計算と注意点を解説

特定口座(源泉徴収あり)で株式投資をされている皆さん、もし過去の譲渡損失を繰越控除している最中に「ふるさと納税」も活用しようと考えているなら、少し立ち止まって確認が必要です。

「繰越控除で税金が安くなるなら、ふるさと納税もたくさんできる?」
「翌年の住民税への影響は?確定申告で何か注意することはある?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか。

【結論】株式の繰越控除で、ふるさと納税の上限額は下がります

結論からお伝えすると、株式の譲渡損失の繰越控除を適用すると、ふるさと納税の控除上限額は下がります。

その理由は、繰越控除によってあなたの「課税所得」が減少し、それに連動してふるさと納税の控除上限額の計算基礎となる「住民税所得割額」も減少するからです。

「え、じゃあ損してしまうの?」と心配になった方もご安心ください。この記事を読めば、なぜ影響が出るのかという「仕組み」から、あなたのふるさと納税上限額が「いくら減るのか」の目安、そして損しないための「確定申告の注意点」まで、全てを正確に理解し、賢く制度を活用できるようになります。

なぜ繰越控除がふるさと納税の上限額に影響するのか?仕組みを解説

まずは、繰越控除がふるさと納税の上限額に影響を与える基本的な仕組みを理解しましょう。ポイントは、「住民税所得割額」と「課税所得」の関係です。

ふるさと納税の控除上限額は「住民税所得割額」に連動する

ふるさと納税は、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税と住民税から控除される制度です。この控除される上限額は、個人の年収や家族構成によって異なりますが、その計算の基礎となるのが「住民税所得割額」です。

住民税には、所得にかかわらず一律で課税される「均等割」と、所得に応じて課税される「所得割」があります。ふるさと納税の控除上限額に影響するのは、この「所得割額」なのです。所得割額が高いほど、ふるさと納税の控除上限額も高くなります。

株式譲渡損失の繰越控除は「課税所得」を減らす制度

一方、株式投資で損失が出た場合、その損失を確定申告することで、翌年以降3年間、株式等の譲渡益と相殺できるのが「譲渡損失の繰越控除」です。特定口座(源泉徴収あり)であっても、この繰越控除を適用するためには確定申告が必要です。

この繰越控除は、翌年以降の「課税所得」(所得税や住民税を計算する基になる所得)を減少させる効果があります。

繰越控除がふるさと納税上限額を下げる論理的な流れ

以上の関係性を踏まえると、繰越控除がふるさと納税の上限額に影響する流れは以下のようになります。

  1. 株式譲渡損失の繰越控除を適用
    → 翌年以降の課税所得が減少する
  2. 課税所得が減少
    → 課税所得を基に計算される「住民税所得割額」も減少する
  3. 住民税所得割額が減少
    → 住民税所得割額に連動する「ふるさと納税の控除上限額」も減少する

つまり、繰越控除によって税金が安くなる一方で、ふるさと納税で控除を受けられる上限額も下がってしまう、という仕組みです。

A simple flow chart illustrating the causal relationship: Stock Loss Carryover Deduction -> Reduced Taxable Income -> Reduced Resident Tax Income Amount -> Reduced Furusato Nozei Deduction Limit.” class=”aligncenter size-full wp-image-377″ /></p>
<h2><span id=【年収・損失額別】ふるさと納税上限額への影響シミュレーション

具体的に、繰越控除を適用した場合としない場合で、ふるさと納税の上限額がどれくらい変わるのか、シミュレーションで見てみましょう。

【シミュレーションの前提条件】
* 給与所得者(会社員)
* 独身、扶養親族なし
* 社会保険料は年収の約15%と仮定
* 基礎控除、社会保険料控除のみを考慮(その他の控除はなし)
* あくまで目安であり、実際の税額・上限額は個人の状況により異なります。

項目 適用前(年収500万円) 適用後(年収500万円、繰越控除100万円) 適用前(年収800万円) 適用後(年収800万円、繰越控除200万円)
給与収入 500万円 500万円 800万円 800万円
繰越控除額 0円 100万円 0円 200万円
課税所得(目安) 約330万円 約230万円 約580万円 約380万円
住民税所得割額(目安) 約33万円 約23万円 約58万円 約38万円
ふるさと納税上限額(目安) 約6.1万円 約4.2万円 約12.6万円 約8.2万円
上限額の差額 約1.9万円減 約4.4万円減

【シミュレーション結果からの考察】
上記のシミュレーションを見ると、繰越控除を適用することで、ふるさと納税の控除上限額が数万円単位で減少することがわかります。これは、繰越控除の金額が大きいほど、課税所得の減少幅が大きくなり、結果としてふるさと納税の上限額への影響も大きくなるためです。

繰越控除は、損失を相殺して所得税・住民税を軽減する非常に有効な制度ですが、同時にふるさと納税の控除上限額にも影響を与えることを理解しておく必要があります。

自分の正確な上限額はどこで確認できる?2つの方法

繰越控除を適用している場合、ご自身の正確なふるさと納税上限額を知るには、いくつかの方法があります。

方法1:ふるさと納税サイトのシミュレーターを利用する(注意点あり)

多くのふるさと納税サイトには、年収や家族構成などを入力することで上限額の目安を算出してくれるシミュレーターが用意されています。

しかし、これらのシミュレーターは、「株式譲渡損失の繰越控除」の入力項目に対応していない場合があります。 そのため、繰越控除を適用している場合は、シミュレーターで算出された金額よりも、実際の上限額は低くなる可能性がある点に注意が必要です。

もしシミュレーターで「課税所得」を直接入力できるタイプであれば、確定申告書などで確認できるご自身の課税所得を入力することで、より正確な目安を把握できます。

方法2:最も確実なのは「住民税課税決定通知書」を確認すること

最も確実なのは、毎年5月〜6月頃に自治体から送付される「住民税課税決定通知書」を確認することです。

この通知書には、あなたの住民税の計算根拠が詳細に記載されており、特に「所得割額」の欄を見れば、ふるさと納税の上限額計算の基礎となる数値を正確に把握できます。

繰越控除を適用した確定申告が反映されていれば、この通知書の「所得割額」は、繰越控除をしていない場合よりも低くなっているはずです。

An example of a Japanese Resident Tax Assessment Notice (Juminzei Kazei Kettei Tsūchisho) with the

通知書が手元にない、または見方がわからない場合は、お住まいの市区町村の役所の税務課に問い合わせてみるのも良いでしょう。

【最重要】損しないための確定申告の注意点

特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合でも、株式譲渡損失の繰越控除を適用するためには、確定申告が「必須」です。

もし確定申告をしないと、せっかくの損失は翌年以降に繰り越されず、将来の利益と相殺する機会を失ってしまいます。さらに、ふるさと納税の上限額も、繰越控除が適用されていない高い所得を基に計算されてしまい、結果的に自己負担が増えてしまうリスクがあります。

確定申告書第二表「住民税に関する事項」の選択に注意!

特に重要なのが、確定申告書第二表の「住民税に関する事項」です。

特定口座(源泉徴収あり)の場合、通常は住民税の申告も自動的に行われますが、繰越控除を適用する際は、以下の点に注意が必要です。

「特定配当等・特定株式等譲渡所得金額に係る住民税の徴収方法の選択」という項目で、「申告不要制度」を選択せず、「申告書の内容で課税(総合課税・分離課税)」を選択する必要があります。

これを誤って「申告不要制度」を選択してしまうと、所得税では繰越控除が適用されても、住民税では繰越控除が適用されず、住民税の所得割額が高いまま計算されてしまう可能性があります。その結果、ふるさと納税の上限額も高く見積もられてしまい、自己負担が増えることになりかねません。

A screenshot or diagram of the second page of the Japanese income tax return form (Kakutei Shinkoku Sho Dai Ni Hyo), specifically highlighting the

確定申告書を作成する際は、この「住民税に関する事項」の選択を必ず確認し、ご自身の状況に合わせて正しく選択するようにしてください。e-Taxで申告する場合も、同様の選択肢が表示されます。


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まとめ:繰越控除とふるさと納税は正しく理解して併用しよう

特定口座(源泉徴収あり)で株式投資を行い、譲渡損失の繰越控除を適用している方がふるさと納税を活用する際に知っておくべきポイントをまとめました。

  • 繰越控除を適用すると、ふるさと納税の控除上限額は下がります。 これは、繰越控除によって「課税所得」が減少し、その結果「住民税所得割額」も減少するためです。
  • 影響額は、繰越控除によって減少する「住民税所得割額」によって決まります。ご自身のケースでどれくらい影響があるか、シミュレーションを参考に目安を把握しましょう。
  • ご自身の正確な上限額を知るには、毎年5月〜6月頃に送付される「住民税課税決定通知書」の「所得割額」を確認するのが最も確実です。
  • 繰越控除とふるさと納税を正しく併用するには、確定申告(特に確定申告書第二表の「住民税に関する事項」)が非常に重要です。「申告書の内容で課税」を選択し、住民税にも繰越控除が適用されるようにしましょう。

これらの制度を正しく理解し、計画的に活用することで、税金の負担を賢く軽減し、より豊かな生活を送ることができます。不明な点があれば、税務署や税理士などの専門家に相談することも検討してみてください。

レイ@通信費見直しアドバイザー

「感情論抜きで、一番安くて速いのはどこか?」を徹底検証。

元・家電量販店のスマホコーナー担当。
複雑な料金プランやキャンペーンの「裏の条件」を読み解くのが趣味です。

「なんとなく大手キャリア」で毎月損をしている人を見ると放っておけません。
実測スピードテストと料金シミュレーションに基づいた、忖度のない情報を発信します。
ガジェットと猫が好き。

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