貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)は、個人が企業やプロジェクトに資金を貸し付け、その利息を得る新しい投資手法として注目を集めています。しかし、いざ利益が出た際に「これって何所得になるの?」「確定申告はどうすればいいの?」と頭を悩ませる方も少なくありません。特に、初めて確定申告をする方にとっては、税金に関する不安は大きいでしょう。
この記事では、貸付型クラウドファンディングで得た利益の税法上の扱いから、確定申告の要否、そして具体的な申告書の書き方まで、個人投資家が知るべき税務のすべてを専門的かつ丁寧に解説します。この記事を読めば、あなたの税金に関する「よく分からない」「間違えたくない」という不安を解消し、自信を持って確定申告を完了できるようになります。
【結論】貸付型クラウドファンディングの利益は「雑所得」です
まず結論からお伝えします。貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)で得た分配金は、税法上「雑所得」に分類されます。
多くの方が預貯金の利息と同じ「利子所得」と混同しがちですが、これらは全く異なる所得区分です。利子所得は源泉分離課税の対象となり、原則として確定申告は不要ですが、雑所得は総合課税の対象となり、一定の条件を満たせば確定申告が必要になります。
この記事では、なぜ雑所得になるのかという法的根拠から、確定申告が必要なケース、そして実際の申告書の作成手順まで、ステップバイステップで詳しく解説していきます。
なぜ雑所得?「利子所得」との決定的な違いを比較解説
貸付型クラウドファンディングで得られる利益が「雑所得」に分類されるのは、その仕組みに理由があります。投資家は運営事業者との間で「匿名組合契約」を締結し、事業者を通じて間接的に貸付を行います。この匿名組合契約に基づく分配金は、税法上、利子所得ではなく「雑所得」として扱われると国税庁が明示しています。
一方、「利子所得」は、銀行預金や国債、社債といった元本が保証された金融商品から得られる利子などが該当します。
この二つの所得には、課税方法や損益通算の可否など、確定申告において重要な違いがあります。以下の比較表で、その決定的な違いを理解しましょう。
| 項目 | 雑所得(貸付型クラウドファンディングの利益) | 利子所得(預貯金など) |
|---|---|---|
| 対象 | 匿名組合契約に基づく分配金 | 預貯金、公社債の利子など |
| 課税方式 | 総合課税(他の所得と合算して課税) | 源泉分離課税(他の所得と分離) |
| 損益通算 | 雑所得内でのみ可能(他の所得との通算は不可) | 不可(そもそも損失が発生しない) |
| 税率 | 累進課税(所得額に応じて5%~45%+住民税10%) | 一律20.315%(所得税15.315%+住民税5%) |
| 確定申告 | 条件を満たせば必要 | 原則不要(源泉徴収で課税完了) |

この違いを正しく理解することが、貸付型クラウドファンディングの利益を正しく確定申告するための第一歩です。特に、雑所得は総合課税の対象であるため、他の所得と合算され、所得額が大きくなればなるほど税率が上がる累進課税が適用される点に注意が必要です。
【あなたは必要?】確定申告が必要になる2つのケース
貸付型クラウドファンディングで利益が出たからといって、必ずしも全員が確定申告をしなければならないわけではありません。以下の2つのケースに該当するかどうかで、確定申告の要否を判断できます。
ケース1:会社員などの給与所得者で、給与以外の所得の合計が年間20万円を超える場合
会社員やパート・アルバイトなど、勤務先から給与を受け取っている方の多くは、年末調整によって税金の精算が完了しています。しかし、給与所得以外の所得(貸付型クラウドファンディングの雑所得、副業の所得など)の合計が、年間で20万円を超えた場合は、確定申告が必要です。
【ポイント】「20万円」の計算方法
この20万円は、「収入金額 − 必要経費」で計算される「所得金額」のことです。
例えば、貸付型クラウドファンディングの分配金(収入)が25万円あり、必要経費が6万円かかった場合、所得金額は「25万円 – 6万円 = 19万円」となり、20万円を超えないため確定申告は不要です。しかし、分配金が30万円で経費が6万円なら「30万円 – 6万円 = 24万円」となり、20万円を超えるため確定申告が必要になります。
ケース2:個人事業主や年金受給者などで、所得金額の合計が所得控除の合計額を超える場合
個人事業主やフリーランスの方、あるいは年金収入がある方で、所得金額の合計が所得控除の合計額を超える場合、確定申告が必要です。これは、貸付型クラウドファンディングの雑所得に限らず、全ての所得を合算して判断します。
【注意点】
* 貸付型クラウドファンディングの分配金からは、既に20.42%(所得税及び復興特別所得税)が源泉徴収されています。確定申告をすることで、払いすぎた税金が還付されたり、不足分を納税したりすることになります。
* 20万円以下で確定申告が不要な場合でも、医療費控除やふるさと納税などの控除を受けるために確定申告をする場合は、貸付型クラウドファンディングの雑所得も合わせて申告が必要です。
ご自身の状況に合わせて、確定申告が必要かどうかを判断しましょう。
【5ステップで完了】年間取引報告書を使った確定申告書の書き方
確定申告と聞くと複雑に感じるかもしれませんが、貸付型クラウドファンディングの確定申告は、プラットフォームから発行される「年間取引報告書」があれば、比較的スムーズに進めることができます。ここでは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用した、具体的な申告書の書き方を5つのステップで解説します。
Step1:必要書類の準備
確定申告を始める前に、以下の書類を手元に準備しましょう。
- 年間取引報告書(支払調書): 貸付型クラウドファンディングの各運営事業者から、毎年1月下旬頃に発行されます。年間の分配金総額と源泉徴収税額が記載されています。
- 源泉徴収票: 会社員の方の場合、勤務先から発行されます。
- 経費の領収書や明細書: 貸付型クラウドファンディングに関連する経費(振込手数料、書籍代など)を証明するものです。
- マイナンバーカード(または通知カードと本人確認書類)
- 還付金受取用の銀行口座情報
Step2:国税庁「確定申告書等作成コーナー」での入力開始
国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」ボタンをクリックします。質問に沿って「所得税」を選択し、ご自身の申告方法(e-Tax、印刷して提出など)を選んで進みます。
Step3:「収入金額・所得金額入力」画面で「雑所得>その他」を選択
「収入金額・所得金額入力」の画面に進んだら、「雑所得」の項目にある「その他」を選択して入力画面を開きます。ここで、貸付型クラウドファンディングの利益を入力していきます。
Step4:年間取引報告書の金額を申告書に転記する
「雑所得の入力」画面で、以下の情報を入力します。
- 種目: 「貸付型クラウドファンディング」または「ソーシャルレンディング」などと入力します。
- 名称: 運営事業者の名称を入力します(例:クラウドバンク、OwnersBookなど)。
- 場所: 空欄で構いません。
- 収入金額: 年間取引報告書に記載されている「分配金額(税引前)」の合計額を入力します。
- 源泉徴収税額: 年間取引報告書に記載されている「源泉徴収税額」の合計額を入力します。
- 必要経費: Step1で準備した経費の領収書などに基づき、合計額を入力します。

複数の事業者で貸付型クラウドファンディングを行っている場合は、それぞれの年間取引報告書から上記の情報を集計し、合算して入力します。
Step5:入力内容の確認と申告書の提出方法
全ての所得や控除に関する入力が完了したら、計算結果が表示されます。還付される税額や納税すべき税額を確認し、問題がなければ「入力終了(次へ)」ボタンをクリックして進みます。
最後に、作成した確定申告書の提出方法を選択します。
- e-Tax: マイナンバーカードと対応するICカードリーダーがあれば、オンラインで提出できます。最も手軽で迅速な方法です。
- 印刷して郵送: 作成した申告書を印刷し、必要書類を添付して所轄の税務署へ郵送します。
- 税務署へ持参: 作成した申告書を印刷し、直接税務署の窓口へ提出します。
いずれの方法でも、提出期限(原則として毎年3月15日)に間に合うように手続きを行いましょう。
節税の基本!雑所得の必要経費として認められるもの一覧
確定申告で正しく経費を計上することは、節税に直結する重要なポイントです。貸付型クラウドファンディングの雑所得についても、事業に関連する費用を必要経費として計上することができます。
経費として認められる可能性のあるもの
- 各プラットフォームへの振込手数料: 投資資金をプラットフォームに入金する際にかかる手数料。
- 出金手数料: 利益や元本を口座に引き出す際にかかる手数料。
- 確定申告に関する書籍代: 税務や確定申告について学ぶために購入した書籍の費用。
- 関連セミナー参加費: 貸付型クラウドファンディングや投資全般に関する知識を深めるためのセミナー参加費用。
- インターネット接続費用の一部: 投資活動のために使用したインターネット回線の費用の一部。
- パソコンやスマートフォンの購入費用の一部: 投資活動に直接使用する目的で購入した機器の費用の一部(減価償却の対象となる場合もあります)。
- 交通費: 投資関連のセミナー参加や税務署への相談などで発生した交通費。
経費計上する際の注意点
- 事業との関連性: 計上する費用が、貸付型クラウドファンディングの利益を得るために直接的・間接的に必要であったことを説明できる必要があります。私的な支出と混同しないようにしましょう。
- 領収書や明細書の保管: 経費を証明するためには、領収書やクレジットカードの利用明細書などを必ず保管しておく必要があります。税務調査が入った際に提示を求められることがあります。
- 家事按分: プライベートでも利用するインターネットやパソコンなどは、事業で使用した割合に応じて按分して経費計上します。
正しく経費を計上することで、所得金額を減らし、結果として納税額を抑えることができます。忘れずに記録・保管し、申告時に計上しましょう。
クラウドファンディング確定申告のよくある質問(FAQ)
貸付型クラウドファンディングの確定申告に関して、よくある質問とその回答をまとめました。
Q1. 損失が出た場合、給与所得と損益通算できますか?
A1. できません。 貸付型クラウドファンディングの雑所得で損失が出た場合、その損失は他の所得(給与所得、不動産所得など)と損益通算することはできません。雑所得内でのみ、他の雑所得(例:副業の所得など)と相殺することが可能です。
Q2. 複数の事業者で取引していますが、どう計算すればいいですか?
A2. 全ての事業者の分配金と経費を合算して計算します。 複数の貸付型クラウドファンディング事業者で取引している場合、それぞれの事業者から発行される年間取引報告書(支払調書)を全て集め、各事業者の分配金(収入金額)と源泉徴収税額、そして関連する経費を合算して確定申告を行います。
Q3. 源泉徴収されているのに、なぜ確定申告が必要なのですか?
A3. 源泉徴収は「仮の税額」であり、確定申告で「正しい税額」を計算するためです。 貸付型クラウドファンディングの分配金からは、所得税および復興特別所得税として一律20.42%が源泉徴収されています。これはあくまで仮の税額であり、確定申告で他の所得と合算し、各種所得控除を適用することで、最終的な納税額が決まります。場合によっては、源泉徴収された税金が多すぎたとして還付されることもあります。
Q4. 確定申告をしなかった場合のペナルティは?
A4. 無申告加算税や延滞税が課されるリスクがあります。 確定申告が必要であるにもかかわらず申告を怠った場合、本来納めるべき税額に加えて「無申告加算税」が課されます。また、納税が遅れた場合には「延滞税」も発生します。税務署からの指摘を受けてから申告すると、加算税の割合が高くなる傾向があるため、期限内の自主的な申告が重要です。
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まとめ:正しい知識で貸付型クラウドファンディングの確定申告を
貸付型クラウドファンディングは魅力的な投資手法ですが、税務については正しい知識を持つことが不可欠です。この記事で解説したポイントを改めて確認しましょう。
- 貸付型クラウドファンディングの利益は「雑所得」に分類されます。
- 給与所得者で給与以外の所得が年間20万円を超える場合などは、確定申告が必要です。
- 確定申告は、各事業者から送られてくる「年間取引報告書」を基に、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で簡単に行えます。
- 振込手数料や書籍代など、関連する費用は必要経費として計上し、節税に努めましょう。
- 損失の損益通算は雑所得内でのみ可能であり、無申告にはペナルティがある点も理解しておくことが重要です。
貸付型クラウドファンディングのような新しい投資手法だからこそ、税務についても正しく理解し、適切に申告することが、安心して投資を続けるための基盤となります。申告作業は難しく感じるかもしれませんが、この記事の手順通りに進めれば、誰でも完了できます。
個別の事情で判断に迷う場合は、所轄の税務署や税理士などの専門家に相談し、正確な情報を得ることを強くお勧めします。
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