海外ETF外国税額控除の申請漏れは5年分還付!確定申告ガイド

海外ETFへの投資は、国際分散投資の有効な手段として多くの個人投資家に利用されています。しかし、「特定口座(源泉徴収あり)だから税金の手続きはすべて完了している」と思い込んでいると、思わぬ落とし穴にはまっているかもしれません。

実は、海外ETFの分配金には、現地と国内で二重に税金が課されているケースがほとんどです。この二重課税を解消し、納めすぎた税金を取り戻すための制度が「外国税額控除」です。特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合でも、この外国税額控除を適用するには、原則として確定申告が必要です。

もし、これまで外国税額控除の申請を忘れていたり、仕組みが複雑で手が出せずにいたとしても、ご安心ください。過去5年以内であれば、「更正の請求」という手続きを行うことで、納めすぎた税金を取り戻すことが可能です。

この記事では、

  • 海外ETFの分配金でなぜ二重課税が発生するのか
  • 外国税額控除の仕組みと、「更正の請求」の対象期間
  • 申請漏れ分を取り戻すための具体的な3ステップ

を、専門的かつ論理的に解説します。この記事を読めば、あなたが申請漏れ分を取り戻すための全手順が明確になり、今後の賢い資産運用に役立つことでしょう。

図解で納得!海外ETF分配金の「二重課税」と外国税額控除の仕組み

海外ETFの分配金が投資家の手元に届くまでの税金の流れを理解することは、外国税額控除の必要性を納得するために不可欠です。ここでは、特に米国のETFを例に、税金がどのように二重に課されているのかを見ていきましょう。

なぜ外国税額控除が必要なのか?税金の流れを理解する

海外ETFの分配金には、主に以下の2段階で税金が徴収されます。

【ステップ1:現地での源泉徴収】
まず、海外ETFの運用会社が所在する国(例:米国)で、分配金に対して源泉徴収が行われます。米国の場合、日本居住者であれば日米租税条約により、原則として10%の税金が源泉徴収されます。

【ステップ2:日本での源泉徴収】
次に、現地で税金が引かれた後の分配金が日本の証券会社に送金され、そこで再び日本の税法に基づき20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金が源泉徴収されます。

特定口座(源泉徴収あり)では、この日本の20.315%の源泉徴収までで税金の手続きが完結しているように見えます。しかし、特定口座の源泉徴収では、ステップ1の「現地で徴収された外国税」が考慮されていません。これが、同じ分配金に対して、現地と日本で二重に税金が課されてしまう原因です。

Diagram illustrating the double taxation of overseas ETF dividends. It shows the flow from the foreign country (e.g., US) where 10% tax is withheld, then to Japan where 20.315% tax is withheld, and finally the role of foreign tax credit to avoid double taxation.

外国税額控除は、この二重課税を調整し、納めすぎた税金を取り戻すための重要な制度です。この控除を適用することで、実質的に外国で支払った税金分が日本の所得税や住民税から差し引かれ、納税者の負担が軽減されます。

申請漏れの対処法「更正の請求」とは?対象期間と条件を解説

「外国税額控除の存在は知っていたけれど、手続きが面倒で放置していた」「特定口座だから不要だと思っていた」という方もご安心ください。過去の申請漏れは、「更正の請求」という手続きによって対応が可能です。

「更正の請求」で還付を受けられる

「更正の請求」とは、すでに提出した確定申告書の内容に誤りがあった場合に、正しい内容に訂正して税金の還付を求める手続きです。外国税額控除の適用を忘れていた場合も、この手続きを利用して、納めすぎた税金を取り戻すことができます。

対象期間は「法定申告期限から5年以内」

更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限(通常は翌年3月15日)から5年以内と定められています。例えば、2023年分の確定申告(2024年3月15日が法定申告期限)であれば、2029年3月15日まで更正の請求が可能です。

Timeline chart showing the 5-year period for filing a

この期間を過ぎてしまうと、原則として還付を受けることはできませんので、申請漏れに気づいたら、できるだけ早く手続きを進めることが重要です。

対象となる人

  • 確定申告書を提出済みで、外国税額控除の適用を忘れていた人:
    これが最も一般的なケースです。特定口座(源泉徴収あり)であっても、他の理由で確定申告をしていた場合、その申告書に外国税額控除の記載が漏れていることがあります。
  • そもそも確定申告自体をしていなかった人:
    特定口座(源泉徴収あり)のみで、確定申告を一度もしたことがない場合でも、外国税額控除の適用対象となる可能性があります。この場合は、「更正の請求」ではなく、5年以内であれば「還付申告」を遡って行うことになります。手続きとしては、通常の確定申告書を作成し、外国税額控除を適用して提出することになります。

ご自身の状況がどちらに当てはまるかを確認し、適切な手続きを選択しましょう。

3ステップで完了!外国税額控除「更正の請求」完全マニュアル

実際に外国税額控除の「更正の請求」を行うための具体的な手順を3つのステップで解説します。

【Step 1】必要書類を準備する

まずは、手続きに必要な書類を揃えましょう。

  1. 特定口座年間取引報告書(交付書面)
    • 入手先:証券会社
    • 内容:海外ETFの分配金や、その際に徴収された「外国所得税額」が記載されています。特に、「特定口座年間取引報告書」の「外国税額」欄を確認してください。複数の証券会社に口座がある場合は、それぞれの証券会社から取得します。
  2. (必要に応じて)外国証券に関する支払通知書
    • 入手先:証券会社
    • 内容:年間取引報告書に外国税額の記載がない場合や、より詳細な情報が必要な場合に利用します。
  3. 過去に提出した確定申告書の控え(更正の請求の場合)
    • 入手先:ご自身で保管している控え、または税務署
    • 内容:更正の請求は、既に提出した申告書の訂正なので、元の申告内容を把握するために必要です。
  4. マイナンバーカード(または通知カードと身元確認書類)
    • 本人確認のために必要です。

【Step 2】控除限度額を計算する

外国税額控除には上限額が設けられています。この限度額は、以下の計算式で求められます。

所得税の控除限度額 = その年分の所得税額 × (国外所得総額 ÷ その年分の所得総額)

  • 国外所得総額: 海外ETFの分配金など、国外で発生した所得の合計額です。
  • その年分の所得総額: 国内外すべての所得の合計額です。
  • その年分の所得税額: 所得税額から配当控除額などを差し引いた後の金額です。

また、所得税から控除しきれなかった外国税額は、住民税からも控除できます。
住民税の控除限度額 = 所得税の控除限度額 × 12%(道府県民税) + 所得税の控除限度額 × 16%(市町村民税)

具体的なシミュレーション例
* 年間の海外ETF分配金(税引前):100,000円
* 米国での源泉徴収税(10%):10,000円
* その年分の所得総額:5,000,000円
* その年分の所得税額(配当控除後):300,000円

この場合、所得税の控除限度額は
300,000円 × (100,000円 ÷ 5,000,000円) = 6,000円

この例では、米国で徴収された10,000円のうち、所得税からは最大6,000円が控除可能です。残りの4,000円は住民税からの控除を検討できます。
実際に戻ってくる金額は、この計算で算出された控除限度額と、実際に外国で支払った税額のいずれか低い方となります。多くの場合、外国で支払った税額が全額控除されるか、それに近い金額が還付されることになります。

【Step 3】「更正の請求書」を作成・提出する

必要書類と計算結果が揃ったら、「更正の請求書」を作成し、提出します。

  1. 国税庁のウェブサイトを利用する
    国税庁のウェブサイトには、確定申告書等作成コーナーがあり、更正の請求書もオンラインで作成できます。画面の案内に従って入力していけば、比較的簡単に作成可能です。

  2. 書面で作成・提出する
    書面で作成する場合は、国税庁のウェブサイトから「所得税及び復興特別所得税の更正の請求書」をダウンロードし、必要事項を記載します。

    • 記載項目:
      • 氏名、住所、マイナンバーなどの基本情報
      • 請求する年分
      • 更正の請求の理由(例:外国税額控除の適用漏れ)
      • 「外国税額控除に関する明細書」に、上記Step2で計算した控除額や外国所得の金額を記入
      • 還付を受けたい金融機関の口座情報
    • 作成した請求書と添付書類(年間取引報告書など)を、所轄の税務署に郵送または持参して提出します。

不明な点があれば、税務署の相談窓口や税理士に相談することをおすすめします。

よくある質問と注意点(FAQ)

Q1. 実際、いくらくらい戻ってくるの?具体的な計算例。

A. 還付される金額は、投資している海外ETFの分配金額、外国で源泉徴収された税額、そしてご自身の所得総額や所得税率によって異なります。
例えば、年間で合計10,000円の外国源泉徴収税が発生していた場合、ご自身の日本の所得税額が十分に高ければ、概ねその10,000円が還付される可能性があります。所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除されます。
具体的なシミュレーションとして、以下のような目安が考えられます。

年間所得総額 海外ETF分配金 (外国源泉徴収税) 還付される税額の目安
300万円 5万円 (5,000円) 4,000円~5,000円程度
500万円 10万円 (10,000円) 8,000円~10,000円程度
800万円 20万円 (20,000円) 16,000円~20,000円程度

※上記は簡略化した目安であり、実際の還付額は個別の税額計算によって変動します。

Q2. NISA口座で受け取った分配金はどうなる?

A. NISA口座(つみたてNISA、一般NISA)で受け取った海外ETFの分配金は、そもそも日本国内では非課税扱いとなります。そのため、日本で課税されていない所得に対して外国税額控除を適用することはできません。NISA口座で海外ETFを保有している場合、外国で源泉徴収された税金は還付されない点に注意が必要です。

Q3. 更正の請求をすると税務署から連絡が来る?

A. 更正の請求を提出した後、税務署から内容確認のために連絡が来ることはあります。特に、提出書類に不備があったり、記載内容に不明な点があったりする場合に連絡が入ることが多いです。しかし、これは不正を疑われているわけではなく、あくまで適正な処理を行うための確認ですので、落ち着いて対応しましょう。

Q4. 複数の証券会社に口座がある場合の注意点は?

A. 複数の証券会社で海外ETFを保有している場合、それぞれの証券会社から「特定口座年間取引報告書」を取得し、記載されている「外国所得税額」を合算して申告する必要があります。いずれかの証券会社の分だけを申告し忘れないように注意してください。

Q5. 5年以上前の申請漏れは、もう取り戻せない?

A. 原則として、法定申告期限から5年を過ぎた年分の更正の請求はできません。ただし、災害やその他やむを得ない事情があった場合は、特例が適用される可能性もありますので、所轄の税務署に相談してみてください。しかし、多くの場合、5年を過ぎた分は還付が困難であることを理解しておきましょう。


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海外ETFへの投資を検討されている方、または現在投資している方も、税金対策は重要なポイントです。よりお得に賢く資産運用を続けるために、ご自身の投資スタイルに合った証券会社選びも大切です。楽天証券では、海外ETFの取り扱いが豊富で、特定口座での管理も可能です。この機会に、ご自身の資産形成について見直してみてはいかがでしょうか?


まとめ:申請漏れに気づいたらすぐ行動を!今後の対策も忘れずに

海外ETFの分配金にかかる「外国税額控除」は、特定口座(源泉徴収あり)を利用している多くの個人投資家が見落としがちな、しかし非常に重要な税金還付制度です。

  • 海外ETFの分配金は、現地と日本で二重に課税されている。
  • この二重課税を解消し、納めすぎた税金を取り戻すのが外国税額控除
  • 特定口座(源泉徴収あり)でも、外国税額控除を適用するには確定申告(または更正の請求)が必要
  • 過去5年以内の申請漏れは、「更正の請求」を行うことで還付を受けられるチャンスがある。
  • 手続きは、「必要書類の準備」「控除限度額の計算」「更正の請求書の作成・提出」の3ステップ。

申請漏れに気づいたら、期限が過ぎてしまう前にすぐに行動を起こしましょう。そして今後は、毎年忘れずに外国税額控除を適用した確定申告を行い、大切な資産を賢く守り、最大限に活用していきましょう。適切な税金知識と手続きで、あなたの投資はさらに盤石なものになります。

レイ@通信費見直しアドバイザー

「感情論抜きで、一番安くて速いのはどこか?」を徹底検証。

元・家電量販店のスマホコーナー担当。
複雑な料金プランやキャンペーンの「裏の条件」を読み解くのが趣味です。

「なんとなく大手キャリア」で毎月損をしている人を見ると放っておけません。
実測スピードテストと料金シミュレーションに基づいた、忖度のない情報を発信します。
ガジェットと猫が好き。

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