会計ソフトから出力したPDFで、意図しないフォントに変わってしまったり、最悪の場合は文字化けしてしまったりといった経験はありませんか?請求書や領収書、決算書といった重要な書類の体裁が崩れることは、経理担当者や個人事業主にとって大きなストレスであり、業務の停滞にもつながります。
この問題は、感覚的に「なぜか変わる」と対処するのではなく、その根本原因を論理的に特定することで、確実かつ効率的な解決が可能です。本記事では、PDFのフォントが勝手に変更される現象について、PDFの基本的な仕組みから考えられる4つの主要な原因を切り分け、それぞれの原因に応じた具体的な解決手順を網羅的に解説します。安定した帳票出力環境を構築するための参考にしてください。
なぜフォントは勝手に変わるのか?PDFの仕組みと4つの原因
PDF(Portable Document Format)は、環境に依存せず、どこでも同じように文書を表示・印刷できるように設計されたファイル形式です。しかし、この「環境に依存しない」という特性を維持するためには、フォントの埋め込みが非常に重要な役割を果たします。
PDFファイルが作成される際、使用されているフォントの情報がPDFファイル自体に「埋め込まれる」ことで、そのフォントが閲覧者のPCにインストールされていなくても、作成時と同じ見た目で表示されるのが理想です。しかし、この埋め込みが適切に行われないと、閲覧者のPCに代替フォントを探させたり、文字化けを引き起こしたりする原因となります。
このフォントの埋め込みがうまくいかない原因として、以下の4つが考えられます。
原因1:PCにインストールされていないフォントを使用している(環境依存)
PDFを作成したPCにはインストールされているが、閲覧するPCにはインストールされていない特殊なフォントを使用している場合、PDFファイルにそのフォント情報が埋め込まれていないと、閲覧環境で代替フォントに置き換えられてしまいます。これが最も一般的な原因の一つです。
原因2:ライセンス上、PDFに埋め込めないフォントを使用している
フォントには著作権があり、その利用にはライセンス契約が伴います。一部のフォントは、PDFへの埋め込みがライセンスで制限されている場合があります。特に商用フォントやデザイン性の高いフォントでこの問題が発生することがあります。
原因3:会計ソフト側のPDF出力エンジンの仕様・バグ
会計ソフトがPDFファイルを生成する際に使用する「PDF出力エンジン」の仕様や、ソフトウェアのバグによって、フォントの埋め込みが正常に行われないことがあります。古いバージョンや特定の環境でのみ発生するケースも考えられます。
原因4:PDF閲覧ソフト(Acrobat Readerなど)側の表示設定の問題
PDFファイル自体にフォントが正しく埋め込まれていても、閲覧側のPDFソフト(Adobe Acrobat Readerなど)の設定によって、ローカルPCのフォントを優先して表示しようとする場合があります。この設定が原因で、意図しないフォントで表示されることがあります。

【原因別】PDFフォント変更問題の具体的な解決策ステップ
前述の原因を踏まえ、ここからは具体的な解決策をステップごとに解説します。一つずつ試して、問題解決を目指しましょう。
【解決策1】環境依存をなくす:標準的なフォントに変更して出力し直す
最も手軽で効果的な解決策の一つが、使用するフォントを一般的なものに変更することです。
- 手順:
- 会計ソフトの帳票レイアウト設定や、印刷設定でフォント指定箇所を探します。
- 「MSゴシック」「メイリオ」「游ゴシック」「游明朝」など、WindowsやmacOSに標準搭載されているフォントに変更します。
- 変更後、再度PDF出力を行い、フォントが正しく表示されるか確認します。
これにより、閲覧者のPC環境に依存するリスクを大幅に減らすことができます。
【解決策2】フォント埋め込み設定を有効化する
PDF出力時にフォントが埋め込まれるように設定を変更します。この設定は、会計ソフト自体にある場合と、OSに搭載されている「PDF変換プリンタ」の設定にある場合があります。
-
手順(会計ソフト内の設定):
- 会計ソフトの「印刷設定」や「PDF出力設定」の項目を確認します。
- 「フォントを埋め込む」「全てのフォントを埋め込む」といったチェックボックスやオプションがあれば、これを有効にします。
- 再度PDF出力を行い、確認します。
-
手順(PDF変換プリンタの設定):
- 会計ソフトの「印刷」ダイアログで、プリンタとして「Microsoft Print to PDF」(Windows標準)や「Adobe PDF」(Adobe Acrobatインストール時)などを選択します。
- 「プリンターのプロパティ」または「詳細設定」をクリックします。
- フォントに関する項目(例:「TrueTypeフォントをグラフィックとしてダウンロード」「フォントを埋め込む」)を確認し、フォント埋め込みが有効になるように設定を変更します。
- 再度PDF出力を行い、確認します。

【解決策3】画像としてPDF化する(緊急避難的対処)
根本的な解決ではありませんが、緊急で体裁を整えたい場合の対処法です。一度帳票を画像として書き出し、それをPDFに貼り付けることで、フォントの問題を回避できます。
- 手順:
- 会計ソフトから帳票を画像ファイル(JPEG, PNGなど)として出力します。
- 出力した画像をWordやPowerPointなどに貼り付け、そこからPDFとして保存します。
- または、オンラインの画像-PDF変換ツールを利用します。
この方法はファイルサイズが大きくなりがちで、テキストの選択・コピーができなくなる点に注意が必要です。
【解決策4】PDF閲覧ソフトの設定を見直す
PDFファイル自体に問題がない場合、閲覧ソフト側の設定が影響している可能性があります。
- 手順(Adobe Acrobat Readerの場合):
- Acrobat Readerを開き、「編集」メニューから「環境設定」を選択します。
- 左側のカテゴリから「ページ表示」を選択します。
- 「レンダリング」セクションにある「ローカルフォントを使用」のチェックボックスをオン/オフを切り替えて、表示の変化を確認します。
- 「フォントの代替設定」なども確認し、不適切な設定がないか確認します。
主要会計ソフト別|設定確認とトラブルシューティング情報
ここでは、主要な会計ソフトにおけるPDF出力とフォントに関する一般的な注意点や設定箇所を解説します。
弥生会計シリーズ
弥生会計では、帳票レイアウトをカスタマイズできる「帳票レイアウタ」でフォントを指定することが可能です。ここで特殊なフォントを使用している場合、前述の【解決策1】を参考に標準フォントへの変更を検討してください。また、印刷時に「PDF出力」を選択する際、プリンタードライバーの設定が適用されるため、【解決策2】のPDF変換プリンタの設定も重要になります。特に古いバージョンの弥生会計では、PDF出力エンジンが古い可能性もあるため、最新版へのアップデートも検討する価値があります。
freee会計
freee会計はクラウド型の会計ソフトであるため、基本的にはブラウザを通じて操作します。PDF出力は、freeeの機能として提供されるエクスポート機能か、ブラウザの印刷機能を利用することが多いでしょう。
freeeの標準エクスポート機能でPDF出力を行う場合、フォントはfreee側で指定されたものが埋め込まれるため、環境依存の問題は発生しにくい傾向にあります。もし問題が発生する場合は、利用しているブラウザ(Chrome, Firefox, Edgeなど)のバージョンが最新であるか、ブラウザの印刷設定で「背景のグラフィックを印刷」や「システムダイアログを使用して印刷」といった設定を確認してみてください。
マネーフォワード クラウド会計
マネーフォワード クラウド会計もfreee会計と同様にクラウド型です。PDFエクスポート機能は、マネーフォワード側で最適なフォント埋め込みが行われるように設計されています。
もしフォントの問題が発生した場合、まずは推奨されるブラウザ環境(Google Chromeの最新版など)で試しているかを確認してください。また、ブラウザのキャッシュやCookieが影響している可能性もゼロではないため、一度クリアして再試行するのも有効な手段です。ブラウザの印刷機能を使用する場合は、ブラウザ側の印刷設定も確認が必要です。
フォント問題が起きにくい会計ソフトの技術的要件と比較
頻繁にPDFフォント問題に悩まされる場合、根本的な解決策として、より安定したPDF出力機能を備えた会計ソフトへの乗り換えも視野に入れるべきでしょう。ここでは、フォント問題が起きにくい会計ソフトを選定するための技術的要件と、主要ソフトの比較ポイントを解説します。
選定基準1:PDF出力エンジンの安定性
会計ソフトがどのようなPDF出力ライブラリやエンジンを採用しているかは重要です。実績のある、安定したエンジン(例えば、Adobe社の技術をベースにしたものなど)を採用しているソフトは、フォント埋め込みやレイアウトの再現性が高い傾向にあります。
選定基準2:フォント埋め込みに関する詳細設定が可能か
ユーザーがフォント埋め込みのオン/オフや、使用するフォントの種類を細かく設定できるかどうかもポイントです。これにより、特定の環境で問題が発生した場合でも、柔軟に対応できます。
選定基準3:クラウド型かインストール型か
- クラウド型会計ソフト: サーバー側でPDFが生成されるため、ユーザーのPC環境(インストールされているフォントなど)に依存しにくいという大きなメリットがあります。ブラウザとインターネット環境さえあれば、どこでも同じ品質のPDFが出力されやすいです。
- インストール型会計ソフト: ユーザーのPCにインストールされたプリンタードライバーやフォント環境に大きく依存します。カスタマイズ性が高い反面、環境起因のトラブルが発生しやすい側面もあります。
主要3社の機能比較表:PDF出力に関する機能
| 項目 | 弥生会計(インストール型) | freee会計(クラウド型) | マネーフォワード クラウド会計(クラウド型) |
|---|---|---|---|
| 動作環境 | Windows PCにインストール | ブラウザ(Chrome, Edge等) | ブラウザ(Chrome, Edge等) |
| PDF出力エンジン | PCのプリンタードライバーに依存する部分が大きい。 | サービス側で最適化されたエンジンを採用。 | サービス側で最適化されたエンジンを採用。 |
| フォント設定自由度 | 帳票レイアウタで比較的自由に設定可能。プリンター設定も影響。 | 基本的にサービス側の指定フォント。ブラウザ印刷設定も一部影響。 | 基本的にサービス側の指定フォント。ブラウザ印刷設定も一部影響。 |
| 出力安定性(実績) | PC環境によってはトラブルが発生しやすいケースも。 | 環境依存が少なく、安定した出力が見込める。 | 環境依存が少なく、安定した出力が見込める。 |
クラウド型は環境依存が少ないため、フォント問題が発生しにくいという点で優位性があると言えます。
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まとめ:PDFフォント問題は原因の切り分けで確実に解決できる
会計ソフトから出力したPDFのフォントが勝手に変わる問題は、多くの経理担当者や個人事業主が直面する課題です。しかし、本記事で解説したように、この問題は決して解決できないものではありません。焦らず、以下の原因特定フローを参考に、一つずつ対処していくことが重要です。
- まずは「標準フォントへの変更」と「会計ソフトやPDF変換プリンタのPDF設定確認」から試すのが最も効率的です。 これで多くの場合、問題は解決します。
- それでも改善しない場合は、「フォントのライセンス問題」や「会計ソフトのバージョン」 を疑い、必要に応じてソフトのアップデートやサポートへの問い合わせを検討しましょう。
- 最終的には、「PDF閲覧ソフトの設定」 も確認することで、問題の切り分けが完了します。
安定した帳票出力環境は、日々の業務効率を高め、ビジネスの信頼性を維持する上で不可欠です。本記事で解説した原因特定と解決策を参考に、ストレスフリーな会計業務環境を構築してください。
「感情論抜きで、一番安くて速いのはどこか?」を徹底検証。
元・家電量販店のスマホコーナー担当。
複雑な料金プランやキャンペーンの「裏の条件」を読み解くのが趣味です。
「なんとなく大手キャリア」で毎月損をしている人を見ると放っておけません。
実測スピードテストと料金シミュレーションに基づいた、忖度のない情報を発信します。
ガジェットと猫が好き。


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